契約について【令和6年6月定例月議会一般質問】
質問1:ウルシハラ
まず一点目は、「履行遅延のペナルティについて」です。
先日の建設環境委員協議会において、今年度に着工する予定のシールド工事に関する報告がありましたが、過年度に完成した楠葉雨水貯留管の整備工事においては、シールドマシンのトラブルが発生し、大幅に完成が遅れました。当初の工期から履行が遅延するということは、あってはならないことであり、市民に損害を与えたということになりますので、このような事業者には、厳正に対応する必要があります。
そこで、事業者に対して、どのようなペナルティが科されたのか、まず、確認のためにお伺いいたします。
次に、「入札の在り方について」お伺いします。
市内には、多くの市内業者がおられます。ある契約の契約期間中に、同じ業者が他の契約の受注者にならなくても、市内の工事は施工できるわけですし、もし、同じ業者がいくつも工事を抱えて、履行不能となった場合、被害を被るのは市民です。
そういったことから、同じ業者がいくつもの工事を受注することがないようにして、リスクを回避することが、市の責務ではないかと考えます。
今年度から、市では、「くじ案件同時受注防止方式」という制度を導入しています。
これは、くじ引きで落札した業者は、同じ日に別のくじ引きでは落札できないという制度です。
極めてまれにしか、このようなことは起きませんので、実効性があるものとするよう、改善する必要があるのではないかと思います。
大阪府や他市では、本市のように限定的ではなく、1件受注したら、同じ日にもう受注できないこととする「取抜け制度」を導入しておられます。
本市では、なぜ、多くの市のような「取抜け制度」ではなく、極めてまれにしか起きないケースのみを対象とした制度を導入したのか、また、「取抜け制度」については検討しないのか、お伺いします。
答弁1:土佐総務部長
まず、履行遅延のペナルティについてお答えします。
公共下水道第69工区楠葉雨水貯留管整備工事につきまして、施工中の令和元年12月にシールドマシンの損傷により施工が停止し、大幅に工期が遅れました。
このことについて、当該事業者の責めに帰すべき事由があることを確認したことから、令和4年3月から、履行遅滞による入札参加停止といたしました。
その後、当該工事が令和5年3月に完成するまでの履行遅滞期間に応じた入札参加停止期間の加算に加え、他団体での非違行為が判明したことから、これらを、加算措置も含めて合算し、最終的には、令和4年3月2日から令和6年7月2日まで、約2年4か月間の入札参加停止としています。
あわせて、履行遅滞の日数に応じまして、約1億円の遅延損害金を徴収したところでございます。
次に、⑵入札の在り方についてお答え申し上げます。
契約につきましては、価格競争の原則に伴いまして、最低の価格をもって入札した者を相手方とすることを基本としております。
一方で、市内業者の受注機会の確保も重要であると認識しており、市内業者のみを対象とした発注にも取り組んでいるところです。
「取抜け制度」の場合、最低の価格をもって入札した者の入札を無効とすることとなるため、落札する者の入札金額が、最低入札金額を上回る金額となります。
このため、価格競争の原則と、より多くの市内業者の受注機会の確保を両立する方策として、最低の価格をもって入札した者が複数あるときに限り、すでに受注した者は契約の相手方としないとする方式を導入したものでございます。
「取抜け制度」につきましては、今年度導入した制度の実績も見極めつつ、ご質問にありましたリスク回避の観点からも、市内業者により広く受注機会が確保されますよう、引き続き、制度の見直しについて検討して参りたいと考えております。
質問2:ウルシハラ
ただ今の答弁を聞きますと、当該事業者は、入札参加停止のペナルティを科せられているにもかかわらず、その最中にまた非違行為を行ったということです。
このような事業者が果たして公共工事を受注する資格があるのか、極めて疑問に思います。
また、まだ工事が完成していないにもかかわらず、入札参加停止の措置を講じたということです。
工事完成前に入札参加停止措置を講じると、場合によっては、工事完成時には入札参加停止期間が終了しているということもあり得ます。
この場合、その入札参加停止措置のペナルティは、全く意味をなしておらず、入札参加停止措置は、当該工事の完成後から講じるべきであると思いますが、見解をお伺いします。
答弁2:土佐総務部長
地方自治法施行令第167条の4第2項についての国が示す解釈としまして、入札参加停止措置は、非違行為を行った者を、契約の相手方とすることは適当ではないことから、非違行為の度合いに応じて、一定期間、契約の相手方から排除する措置であり、行政は、入札参加停止期間を速やかに設定する義務を負うとされておりまして、入札参加停止期間を定めた時点をもって期間の起算点とすることとされています。
このことから、非違行為が明らかになった時点で、契約の相手方から排除することとし、その日をもって、入札参加停止期間の起算日としております。
質問3:ウルシハラ
当該事業者の入札参加停止期間は、間もなく終了するわけですが、もし、当該工事完成後に入札参加停止措置を講じたなら、まだ1年以上、入札参加停止となるわけです。
それこそ、ペナルティとして実効性があるのではないかと思います。
非違行為が明らかになった時点で、契約の相手方から排除することとしているとのことですが、入札参加停止措置は、3年を限度としていると聞いております。
そうしますと、例えば、3年間の入札参加停止のペナルティを科せられた者が、停止期間中に、また、別の非違行為を行い、3年間の入札参加停止のペナルティを科せられることになったとしても、3年の限度にかかってしまい、入札参加停止措置を受ける行為を立て続けに2回もしたという悪質性があるにもかかわらず、単純に合計した6年のペナルティさえ科すことができないということになります。
そこで、なぜ、3年を限度としているのか、お伺いいたします。
答弁3:土佐総務部長
地方自治法施行令第167条の4第2項におきまして、入札参加停止期間は、3年を限度とすることが規定されているところです。
このことから、入札参加停止期間中に他の非違行為があり、新たに入札参加停止措置を講じる場合、その期間は、前の残日数を加算しますが、その終期につきましては、新たな措置を講じた日から、最長3年を限度ということになります。
意見:ウルシハラ
地方自治法施行令に3年以内という期間の定めがあるから、ということですが、悪質なケースについては実効性があるペナルティを科すためには、3年以内という期間の定めと、入札参加停止期間を定めた日をもって期間の起算日とするということについて、見直しをすることが必要であると考えます。
国において実効性を確保するための見直しがされるよう、市として取り組んでいただきたいと、意見しておきます。
次に、入札の在り方についてですが、時間の都合もありますので、これについても、意見を述べておきます。
もっと低い価格で入札した業者がいるのに、高い価格で入札した業者と契約することになるから、ということですが、現在においてその差は微々たるものです。
その微々たる金額にこだわるのではなく、特定の業者に工事が集中するリスクを回避し、より多くの市内業者が受注できる制度とすることが、市の取るべき姿勢ではないでしょうか。
現に、大阪府や他市において「取抜け制度」を導入しているのも、そういった姿勢の表れです。
「取抜け制度」にさえ消極的な今の状況ですが、現状では年間5件までが受注できるという風になっております。
極端に言いますと、同日に5件の入札があり5件とも落札すると、同時に5件受注できるというのが今の仕組みとなっているわけであります。
私は、さらに発展させて、一つの受注案件が完了するまでは、同族会社も含めて、他の案件を受注できないといった制度を、もしくは出来高を設定して進めるべきだと、先進的な制度として導入するべきだと主張しておきます。
このことによって、市内業者がまんべんなく受注できるようになり、リスクの回避もできますし、更には、入札参加停止のペナルティの起算日を当該案件の完了日としても、それまでに新たな案件を受注することはなくなりますので、非違行為が判明した後すぐに入札参加停止措置を講じなくても、不都合はないこととなるわけです。
大阪府や他市で、参考となる制度が導入されているのですから、ぜひとも、そういった事例をよく調べて検討していただいて、市内業者がまんべんなく受注できる制度に見直していただきますよう、意見を申し上げます。