飼い主死亡時におけるペットの一時保護について【令和6年9月定例月議会一般質問】
質問1:ウルシハラ
一人暮らしで犬や猫などのペットを飼育している方が亡くなった場合、残されたペットはどうなるのかお聞かせください。
答弁1:白井保健所長
飼い主が亡くなられた場合には、ペットは親族などの相続権のある方の所有物とされています。
その親族などの方が、引き続き飼育したり、新しい飼い主を探すなどされています。
質問2:ウルシハラ
ペットの飼主には身寄りのない方や、死亡後に親族がすぐに判明せず連絡を取るために何日もかかる場合もあると思います。
保健所がペットを一時預かって世話をする一時保護を行うことはできるのかお伺いいたします。
答弁2:白井保健所長
ペットは持ち主に所有権があり、保健所が所有者の了解なく持ち出すことは、行政として難しいと考えております。
保健所では、警察や福祉部署などと連携して情報を収集し、できるだけ早く所有権のある方と連絡をとり、ペットが残されていることを伝えるとともに、必要に応じて飼い方や、新しい飼い主探しの方法について相談に応じております。
質問3:ウルシハラ
では所有権のある方を探している間、残されたペットの世話は誰が行うのでしょうか。
答弁3:白井保健所長
ペットの一時的な世話については、これまで飼い主の知人の方であるとか借家の管理者、福祉事業者などが行われています。
保健所は、所有権のある方の情報収集と合わせて、ペットの行先が決まるまで安全に過ごせるよう、残されたペットの状況の確認や、世話について助言するなどの支援を行っております。
保健所としては、このような状況にならないよう、ペットを飼育される際には飼えなくなった時の次の飼い主を探しておくなどの備えをするよう、さらに啓発に取り組んでまいります。
要望:ウルシハラ
独り暮らしの方が亡くなる、又は施設に入所したりなど、ペットの世話が出来なくなり、処遇が不明なケースが枚方市のみならず全国的にも増えてくるものと考えております。
動物愛護行政は地方の事務事業となっており、多くの自治体の課題となってくるのは明白であります。
先ほど答弁で、ペットには持ち主に所有権があり、所有者の了解なく持ち出すことは行政として難しいと考えると答弁がありました。
すなわち財産の侵害になるので難しいということだと思われます。
AEDやエピペンなどは民法698条の規定により、医師の資格がなくても一般の方の使用が可能となっております。
民法698条とは、「管理者は、本人の身体、名誉または財産に対する急迫の危害を免れさせ るために事務管理をしたときは、悪意または重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない」とあります。
すなわち緊急事務管理の規定であります。
緊急事務管理規定とは、他人に対する緊急の危害がある時にする事務管理のことで、事務管理とは、義務がないのに他人のためにその事務を処理するということです。
事務管理は、本人の承諾なく勝手に本人の財産等を干渉するものなので、外形上、財産などを侵害しております。しかし事務管理が成立することで違法性がなくなり、事務管理を行ったとしても不法行為責任は問われないと解釈されております。
善意の行為による免責を規定しているものであります。
しかしあくまで人に対してのみ想定されているので、民法上、物である動物は想定しておりません。
飼主死亡時、世話をしてくれる人が、亡くなった方の周りにいるということはどこにも保証されておりません。
誰もペットの世話をしなければ、そのペットもやがて亡くなるものと思われます。
人も動物も同じ命であるならば、ペットの一時保護も民法698条が適用されるか新たに規定を設けるべきものと考えます。
そうすれば相続による所有者が見つかるまでの間、保健所で保護をすることも可能になると考えております。
動物愛護法では命、民法では物と規定され、その動物の位置付けは定かではなく、法と法との整合性が取れていないように感じます。
国に対し、市長におきましては全国市長会を通じて、また府知事には全国知事会を通じて取り上げてもらうよう働きかけることを強く求めておきます。
これからの自治体の大きな課題となることは、先ほども言いましたように明白であります。是非とも市長におかれましては、早急にそのような対応をしていただくことを求めます。