ペットの一時保護制度に関する条例制定について【令和7年9月定例月議会一般質問】

質問1:ウルシハラ

ペットを飼っているひとり暮らし高齢者が急に亡くなられたり、長期入院されるなどにより、どうしてもペットの世話が出来なくなることは起こり得ます。

その場合のペットの世話については、ペットは持ち主に所有権があるため所有者の了解なく持ち出すことは困難であり、保健所で引き取って世話をすることは難しいという風に伺っておりますが、ペットの所有権は持ち主にあり、飼い主が亡くなられたあと、相続人がいた場合は相続人が持ち主になります。その場合は相続人が世話をするべきですが、遠方にいるため世話ができないようなとき、誰も世話をする人がいなければペットは死んでしまいます。

民法第698条では「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。」とあります。

財産であるペットについても適用され、一時保護したとしても、それによって生じた損害の賠償が免除されるか法務省に確認したところ、担当者からは「ケースバイケースではあるが適用される。」とのことでした。

法的に一時保護ができる可能性があるため、本市が一時保護をできる制度をつくることや、先ほども述べましたが、飼い主がもしもの場合に備えておくことの根拠を明確にしておくことが必要と考えます。見解をうかがいます。

答弁1:白井保健所長

現在、動物の愛護及び管理に関する法律の改正が検討されております。検討内容には一時保護に関する事項も含まれていると聞いておりますので、国の動向を注視していく必要があります。

また、民法などの解釈については慎重におこなう必要があるため、専門家や関係省庁に意見を伺うとともに、他自治体における取り残されたペットの取り扱いについても参考にさせていただき、適切な対応を研究してまいります。

質問2:ウルシハラ

以前に一人暮らしの方が亡くなり、相続人がいなければ取り残されたペットは所有者不明の動物として保健所で収容する旨の答弁がありました。

見方をかえれば相続人がいないと判明するまでたとえペットが取り残されていても対応しないと聞き取れますが、改めて対応についてお伺いいたします。

答弁2:白井保健所長

これまで取り残されたペットの世話については、相続人が判明するか、新しい飼い主が見つかるまでの間、飼い主の知人や借家の管理者、福祉事業者などで行っております。

保健所では、所有者不明のペットに対して行先が決まるまで安全に過ごせるよう、残されたペットの状況確認や、世話をしている方に助言するなどの支援を行っております。
このような状況にならないよう、ペットを飼育する際には飼えなくなった時に次の飼い主を探しておくなどの備えをするよう、啓発に取り組んでおります。

質問3:ウルシハラ

先ほどの答弁で他の自治体の取り組みも参考に適切な対応を研究するとされましたけれども、何故今までされなかったのかお伺いいたします。

答弁3:白井保健所長

ペットが取り残される事例につきましては、今までは研究というより他自治体との会議等で情報共有や相談するなどによって、それらを参考にして個別に対応してまいりました。

今後は更に詳細に専門的知見を収集しまして、より適切な対応について研究を行ってまいります。

質問4:ウルシハラ

市長はこの問題についてどのような見解を持っているのかお伺いいたします。

答弁4:伏見市長

動物の保護につきましては、国から来年早期に、動物愛護法の見直しを目指すと聞いておるところから、現時点におきましては、社会課題として問題解決の認識を深めるとともに、国の動向を見極めた上で、条例の制定が必要かどうかも含め、検討していきたいと考えております。

質問5:ウルシハラ

6月以降一人暮らし高齢者の方が飼い主としてペットの世話をされておりましたけれども、死亡又は入院や施設入所などで飼い主による飼養がなされず取り残された状態のペットについての相談が立て続けに5件ありました。

市外から同様の相談もありました。

全国的に見ると相当数上るのではないかと思われます。

保健所においてこのようなケースの相談は年間で何件位あるのでしょうか、またその相談に対してどのような対応をしてきたのかお伺いいたします。

答弁5:白井保健所長

令和6年4月から令和7年8月までの間に限りまして、飼い主の施設入所によりペットが取り残され、ケアマネージャの方が世話をしているという相談は1件でございました。

対応としまして、飼い主が安心してペットを託せる新しい飼い主を見つけるよう助言を行っております。

また保健所での引取りについては、動物愛護法に飼い主が譲渡先を見つけるよう示されているということですから、新しい飼い主を探す方法を助言しまして、やむを得ない場合は保健所が引き取ることも可能であることをケアマネージャに説明しております。

質問6:ウルシハラ

私どもだけで3ヶ月で5件の相談があって、保健所では1年間で1件の相談と。
なんか保健所に対してあんまり期待されていないのか、何もしてもらえないと感じているのか、当てにならないと思われてるような節もあるように感じます。

社会的な背景を考えると、これらのケースは今後ますます増加すると考えられます。
これを社会的課題と捉えるか、それほど大きな課題ではないと捉えるのか、その問題に対してどう向き合い対応してきたかにもよりますが、その危機意識は取り組み姿勢や考え方に現れてきます。
ケアマネージャへの支援にも連動しますが、飼い主の責務をより明確にし、そのことも踏まえた条例を制定し、併せて市の責務と役割を明確にして取り組むべきであります。
もちろん飼主が所有者であり、第一義的に新しい所有者を見つける取り組みを行わなければならないということは言うまでもありません。
しかし現状において、行き場のないペットの問題について聞こえてくるのは、アレルギーや住居がペットで負荷があるためなかなか次の譲渡先が見つからないので困っている。
また、保護団体やボランティアにおいても、そのペットに病気があるのかないのか。
病気などがあればそれに莫大な費用がかかることもあり、負担として重くのしかかるため、また譲渡先が見つからず長期に渡り抱え込んでしまうリスクもあるため、安易に引き受けますということには中々結びつきません。
SNSなど募集サイトに掲載し、どうにかこうにか里親につげてきているっていうのが現状であります。
それは取り残されたペットの命を繋ぐためであります。
経済的な余裕があれば、終生飼養で1匹30万円など有料にて引き受ける団体があることも紹介しますが、30万円となると高額なため、ためらう人が多いのも事実であります。
ただ、この動物が10年生きたとしますと1日あたりにかかる費用は80円程度なので、一概に高額とも言いきれないようにも思います。
収容するまでのハードルを、保健所の方では高く設定してるのではないかという風にも思います。
シワ寄せがケアマネージャ・保護団体・ボランティア関係者にも来ており、やがて限界も来るでしょう。
いつまで甘えるつもりなのかなと感じております。
動物愛護行政は地方の事務事業です。
執行権者として法の理念に基づき、命を繋ぐ取り組みを強化すべきです。
先ほど市長より国の同行を注視していく必要があるとの見解が出されました。
私は条例を制定してもその後法が改正され条例の必要性がなくなれば、即刻廃止しても良いという風に考えております。
本来であれば今年改正される予定でしたが、その見込みはありません。
動物愛護管理法の法改正の担当の方の思いとしては、先ほど市長が述べられたように2026年1月から5月を目指したいという風なことでありますが、議員立法で制定された法律の経過を踏まえると、改正案が提出されるまでの今後の手続きとしては、法案を提出する議員が環境省及び関係省庁のヒアリングを行い、環境省で法案をまとめ、とりわけ法務省と法律の整合性を調整し、改正される内容について憲法の内容に沿うかどうか確認をする。そういった作業が行われるものと考えております。
しかし、今の国会の状況を考えてみますと、スムーズに手続きが進行していくのか、懐疑的にさえ感じます。
整備に時間を要するようであれば、法が改正するまでの間、条例で指摘した状況に対応すべきと考えます。
市長はいつまで国の動向を注視されるのでしょうか。
5年、10年でも法が改正されるまで注視し続けるということなのでしょうか。

市長の考えをお聞かせください。

答弁6:伏見市長

動物愛護につきましては、重要な課題と認識しているところであります。
議員ご指摘の、ペットの自治法につきましては、国が早期の動物愛護法の見直しを検討中であるため、国の方針をしっかりと見極めたいと思いますが、一方で先ほどからですね、議員お示しの通り、動物愛護団体がですね、どういうようなところに置かれているか、また、そういったですね、ニーズを広くしっかりとですね、認識した上で、この条例がですね、必要かどうか、検討していきたいという風に思います。

意見:ウルシハラ

動物虐待現場、及び多頭飼育崩壊現場において緊急保護を行うことが可能となる法改正を求める要望が都道府県より出されています。
言い換えれば、その改正案が施行されるまでそれらの問題点は改善されず、結局従来通り何も対応できず、結果として動物たちを見殺しにしてしまうことにもなりかねません。
大阪府においては、令和5年に発生した寝屋川市のブリーダーによる動物虐待と思われる事件に対し法的な問題で適切な対応ができなかったことが、報道などで「行政の限界。何ら対応できず。」などと批判を受けたことを踏まえ大阪府吉村知事名で環境大臣宛てに要望が出されたというのが経緯としてあります。
動物虐待や多頭飼育崩壊現場では、所有者がはっきりと存在しております。
その動物は所有者の所有物であり、財産として扱われているため、所有者の同意なく保護したり移動したりする行為は財産権の侵害が生じる恐れがあると考えられているため、同意を得れない場合、何ら対応できないというのが現状であります。
これが大阪府を始め、都道府県から出されている要望の概要であり、今法改正を検討している主な内容であります。
それに対し、今取り上げている課題は、事件性はないものの放置すれば命が侵害される危険な状態に変わりはありません。
憲法の規定する理念の範囲を超えることなく、他の法律との調整を図り、整合性を保たなければならない法改正に比べ、条例の効力は憲法や法律を超えてはならないものの、よりスピーデに制定され、課題克服に結びつくものと思われます。
市民が困っている時に行動に移すか、傍観するのか。
困難な状況に直面した時、打開策を図り前へ進むかそれともそのまま立ち止まるか。
政治にはその姿勢が問われます。
枚方市の魅力を発信すると市長は発言されています。
そのためにも動物愛護行政の全国の先進事例となるように取り組みを行うべきであります。
やるか、やらないか 二者択一です。
政治的判断を求め質問を終わります。

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